新劇の歴史、つまり日本における西洋化された演劇の歴史における小山内薫の演じた役割はたいそう大きい。自由劇場での実験的な上演と築地小劇場での本格的な活動が、新劇の展開にとってどれほど重要な意味を持つものであったかは、すでに多くの人々の証言や研究によって知られている。しかし、小山内薫が2度の旅で見たヨーロッパの演劇については、彼自身が書いた印象記を通じて、文字化された情報の形でしか知ることができずにいた。
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