荒俣宏旧蔵 博物誌コレクション

ロゼッタ・ストーン上部の象形文字

『エジプト誌』

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図版篇:図90
ロゼッタ・ストーン上部の象形文字 巻号頁数:AntiquitWs, t.5, Pl.52 制作者:Jomard[現 物からとった石膏の押し型に基いて制作];Raffeneau Delile(素描家);Bigant(彫版師) 版画技法:エッチング 刊行年:1823 ロゼッタ・ストーンは、1799 年 8 月,ナイル河口の町ロゼッタ近郊で発見された。古代エジプト象形文字の解読に最重要の資料として、評判になった玄武岩製の石碑である。現在大英博物館所蔵。上中下と三段構成をなし、それぞれヒエログリフ(聖刻文字)、デモティック(民衆文字)、ギリシア文字で、プトレマイオス 5 世をたたえる文が刻まれている。上段のヒエログリフは、世界最古の文字の一種で、象形文字、絵文字の形をとり、きわめて具象的である。キルヒャーも早くからヒエログリフに着目し、その解読を試みたが、ロゼッタ・ストーンに刻まれた象形文字の解読に成功したのは、フランスの天才シャンポリオン(1790-1832)で、1822 年 9 月 29 日、パリの学士院において成果を発表した。この日をもって、フランスにおけるエジプト学誕生の記念日とする人は多い。

(鷲見洋一編集・執筆『繁殖する自然―博物図鑑の世界』慶應義塾図書館、2003年 より)