グーテンベルク42行聖書

ヨーロッパにおける活版印刷術の発明者、ヨハン・グーテンベルク (Johannes Gutenberg, c.1400-1468) によって、ヨハン・フスト(Johannes Fust, c.1400-1466)との提携の下、ドイツ・マインツで1455年頃に印刷された世界初の印刷聖書です。ほとんどのページが2段組み42行で組まれていることから「42行聖書」とも呼ばれています。

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解説

  本書は、ヨーロッパにおける活版印刷術の発明者、ヨハン・グーテンベルク (Johannes Gutenberg, c.1400-1468) によって、ヨハン・フスト(Johannes Fust, c.1400-1466)との提携の下、ドイツ・マインツで1455年頃に印刷された世界初の印刷聖書です。ほとんどのページが2段組み42行で組まれていることから「42行聖書」とも呼ばれています。当時少なくとも150部が印刷されたと推測されていますが、本の形で現存するものは世界に48部しかありません。慶應義塾図書館は紙に印刷された上巻1冊を所蔵しており、アジアで唯一の所蔵館として知られています。慶應本はアメリカの著名な蒐集家エステル・ドヒニー(Estelle Doheny, 1875-1958)の旧蔵書で、1996年に慶應義塾に収蔵されました。完本ではなく上巻のみで、旧約聖書の冒頭から詩編までが含まれています。慶應本だけにある特徴として、第134葉が差替版であること、革製のインデックス用ボタンが付されていることなどが挙げられます。この聖書には目次がないため、ボタンをつけて各書の冒頭ページを探しやすくする工夫がなされています。現在は4個しか残っていませんが、元々は30個ほどあったといわれています。当時、印刷された聖書は装飾画家や朱書き師などによって手書きでイニシャルや朱書き、欄外装飾などが入れられたので、1冊として同じものはありません。現存本の中で、印刷と同じく装飾も製本もマインツで行われたとされているのは3部のみで、慶應本はそのうちの貴重な1部です。