荒俣宏旧蔵 博物誌コレクション

一角犀

『諸動物の詳説』

IIIF Drag-n-dropIIIF Manifest

巻号頁数:p.78-79, Tab. XXXVIII 版画技法:エッチング 刊行年:1660
よく批判されるように、ヨンストンの多くの記述は先行出版物の焼き直しであり、とりわけアルドロヴァンディの焼き直しであるという非難が後を絶たない。だが、彼がゲスナーやアルドロ ヴァンディといった偉大な先達に見られる人文主義臭の強い文章癖を嫌い、より近代的な記述に徹した ことは認められてよいだろう。各動物について、言うべきことと言わなくてもよいことを、ヨンストンは 心得ていたのである。ドドネウスの『紅毛本草』と、このヨンストン『禽獣譜』である。デューラーの犀 が、ゲスナーを経てここにもまた登場する。日本博物学の曙にはインド犀が重要な役を演じたのである。

(鷲見洋一編集・執筆『繁殖する自然―博物図鑑の世界』慶應義塾図書館、2003年 より)