荒俣宏旧蔵 博物誌コレクション

卵形の玄武岩(アンデンヌの丘陵産)

『一般と個別の博物誌』

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巻号頁数:t.14, p.210, Pl. II 版画技法:エッチング (手彩色)
18 世紀末、鉱物学関係の図版が博物図鑑でふんだんに使われるようになったのは、ヨーロッパ各地で 巨大な化石が発見され始めたことと無関係ではない。地球それ自体の研究と古生物学とは表裏一体で あり、キュヴィエやラマルクの仕事もそれを出発点にしている。 玄武岩は、もっともありふれた火山岩であるが、アイルランドのジャイアンツ・コーズウェーにみられ るような柱状節理を呈すると、観光客の人気を呼ぶ。ジャイアンツ・コーズウェーは、伝説では巨人が アイルランドとスコットランドを往復するためのものとされてきたが、実際は玄武岩質の溶岩流の堆積物である。『百科全書』の図版項目「博物誌」にも、フランス中央部の火山地帯に見られる巨大玄武 岩堆積風景が巨大図版化されている。

(鷲見洋一編集・執筆『繁殖する自然―博物図鑑の世界』慶應義塾図書館、2003年 より)