インキュナブラコレクション

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035

マニリウス 『占星術』

Astronomicon

マニリウスはローマ時代の詩人で、シリア生まれの解放奴隷ともいわれるが、その生涯は不詳である。唯一残る著書は韻文で書かれた本書であり、その内容からローマの初代皇帝アウグストゥス帝(在位紀元前27-紀元14)もしくはティベリウス帝(在位14-37)時代のローマに住んでいた人物だと考えられている。本書『占星術』は天文学と占星術が分化していなかった時代の、いわば科学詩である。初期の写本は現存していないが、様々な異本が残っている。5巻から成るが、最終巻は未完成のようである。
コロフォンには、ドイツの都市ニュルンベルクでレギオモンタヌス(1436-76)が印刷した旨が明示されているが、印刷年の記載はない(レギオモンタヌスについてはIKUL 024を参照)。ほぼ同時期の1474年にボローニャで同じ作品の別の版が出版されているが、それとは独立した系統の写本が原稿として使われている。
本文はローマン体の活字を用いて30行で印刷されている。ローマン体は、1465年のイタリアでスヴァインハイムとパナルツが最初に用いたもので、次第にドイツの印刷業者にも広まっていた。韻文であるためスペースは十分にあるが、伝統的な省略記号や短縮記号も少し使われている。また、‘et’は単語中に現れるときも常に‘&’と表記されている。各行の冒頭は大文字で印刷されているが、左端はやや不揃いな印象を与える。
各巻の冒頭頭文字は、黒地にアラベスク模様で囲まれた大文字が白抜きされた美しい木版イニシャルで、9行分の高さを占めている。これはスヴァインハイムとパナルツが1471年にローマで用いたものとよく似ている。多くの箇所に2行もしくは3行の頭文字のスペースが空けられており、その中央にはガイドレターが印刷されている。折記号や捕語は印刷されていない。紙の透かし模様は、大きな牛の頭から十字架が伸びている意匠である。
慶應本は、数葉に破れがあり補修されているが、テクストは完全な形で残っている。表ページ右下に鉛筆でフォリオ番号が入っているが、第50葉に誤って ‘49’ と重複した番号をつけてしまっているため、以降一つずつ番号がずれている。そのため、最終葉には ‘71’と書かれているが、正確には72葉であり、完本である。利用の形跡は特に残っておらず、書き込み等は見られない。また、頭文字のスペースは空白のまま残されている。装丁は緑の革に金箔の模様が施された新しいもので、三方の小口は金付けされている。

【参考文献】
マルクス・マニリウス『占星術または天の聖なる学』有田忠郎 訳 (東京: 白水社, 1993)

(MA)

詳細情報

Author
Manilius, Marcus
Place of Publication
Nuremberg
Printer
Johann Müller of Königsberg (Regiomontanus)
Format

4º

Date of Publication
[1473-74]
Binding

19th-century green morocco binding, with gilt panels on both sides, gilded title, all edges gilded.

Bibliographical Notes

72 leaves; some ornamental woodcut initial capitals; spaces for initials with guide-letters.

ISTC
im00202000
Reference: 
Goff M202, H 10703*, BMC II 456, IJL2 265
Shelfmark
120X@917@1
Acquisition Year
1995