インキュナブラコレクション

031d

バルブス 『碑文集』

Epigrammata

本書は、ヴェネツィアの詩人として有名なヒエロニムス・バルブスによるラテン語の著作で、合冊本の第4書として収められている。バルブスはローマの古典ラテン語の専門家であり、古代古典に関して博識があり、諸国の大学で教授を務めた。さらにフランス、イタリア、オーストリア、ハンガリーなどの国々で、国政を司る国王の助言者としても活躍し、北ヨーロッパのドイツにまでその名は知られていた。
本書には刊記がないが、使用されている活字などから判断して、本書を印刷したのはライプツィヒで活躍したコンラート・カヘローフェンとされている。カヘローフェンは印刷者商標を広範に使ったようだが、本書やGWに記述されているコピーには商標が付いていない。
本書は他の6編とは異なり、自国の人物、あるいはライプツィヒ大学の教師宛への謝辞はなく、フランスの長官ギョーム・ド・ロチュフォル(d. 1492)に献呈されている。そのためバルブスがパリにいる間に( -1496)彼のために執筆して、1480年に同地で刊行された。献呈の最後でロチュフォルの名に言及し‘dominum’と呼んでいるので、ロチュフォルがバルブスのパトロンのような立場であったことが推察できる。
この本の印刷業者については不明なこともあるが、ドイツの学生にとって重要であると考えた人物が、フランスで印刷された版をもとにライプツィヒで再版したと考えられている。広範に付された書き込みや注釈は、ラテン語だけでなく時折ドイツ語でも書かれているので、ドイツの大学の授業で使われていたと思われる。印刷された本文の前に序文のようなテクストが書き込まれており、バルブスの経歴もそこに記されている。
クリスチャン・イエンセンによると、このような書き込みの跡はライプツィヒの教師たちの特別な特徴であったという。さらに、本文に手書きで書き込まれた頭文字と、本文内のルブリケーションは写本時代の特徴を数多く残している。ドイツ語の注釈には赤いインクで下線が引いてあることから、このテクストが複数のドイツの学者たちの間で順番に読まれていたと考えられる。

【参考文献】
Jensen, Kristian, ‘Exporting and Importing Italian Humanism: The Reception of Italian Printed Editions of Classical Authors and their Commentators at the University of Leipzig’, Italia Medioevale e Umanistica, 45 (2004), 437-97

(StN)

詳細情報

Author
Balbus, Hieronymus
Place of Publication
[Leipzig]
Printer
[Conrad Kachelofen]
Format

4º

Date of Publication
[c. 1490-95]
Binding

Volume of seven texts [031a-g] in a contemporary German half pigskin leather binding over wooden boards engraved with blind stamping, using a ms fragment, a fully functional hook-clasp fastening with ornamental engraving.

Bibliographical Notes

28 leaves; initial capitals and paraph marks supplied in red; printed area ruled in red; heavily annotated in a contemporary hand.

ISTC
ib00017000
Reference: 
Goff B17, HC 2248*, BMC III 629, GW 3177, IJL 047, IJL2 056, PP 44
Shelfmark
120X@860@1
Acquisition Year
1989
Provenance: 

Hartung und Karl, München 8 November 1988, lot 241.