インキュナブラコレクション

005

『ゲスタ・ロマノールム』

Gesta Romanorum

本書は14世紀初めに書かれたとされる『ゲスタ・ロマノールム』のラテン語版である。そもそも、誰が、何処で『ゲスタ・ロマノールム』を著したかについて明確な結論は出されていない。しかし、現存する111冊の写本数から『ゲスタ・ロマノールム』はヤコブス・デ・ヴォラギネの『黄金伝説』と並ぶ人気を博した書物であったと推察される。聖人伝を纏めた『黄金伝説』と異なる点は題材である。『ゲスタ・ロマノールム』には若干の聖人伝に加え、伝説、史話、逸話、動物譚、笑話、寓話、ロマンスなど、ありとあらゆるジャンルの物語が登場する。そして、どの話の後にも教訓解説(moralizatio)が書かれている。この内容の豊かさ故に、『ゲスタ・ロマノールム』は後にシェイクスピアの『ヴェニスの商人』、さらには芥川龍之介に至るまで影響を与えた。
ラテン語で印刷された『ゲスタ・ロマノールム』は1472年にケルンで刊行されて以来、様々な増補、改変が行われた。従って、『ゲスタ・ロマノールム』に関して、決まった物語数というものはない。慶應本を刊行した印刷者についても不明な点が多い。本書と同じ活字タイプを用いて印刷活動を行っていた人物から、この書物の印刷者はゲオルク・フスナーでなはいかと推察されているが、一般には1483年のヨルダヌス・デ・ケドゥリンブルクの印刷者と呼ばれている。この人物が印刷した他の書物に、バルトロマエウス・アングリクスの『物性論』、ヤコブス・デ・ヴォラギネの『黄金伝説』などがある。
慶應本はゴシック体で印刷されている。目次の下に、R. R. Francisと記され、ところどころに所有者と思しきマーク[H1]が見られる。本書24話以外に書き込みはない。慶應本は第57話から第62話までのK丁と第63話から第68話までのL丁が前後入れ違って製本されている。全101葉、モロッコ・アンティーク様式の装丁である。

【参考文献】
伊藤正義 訳『ゲスタ・ロマノールム』(東京: 篠崎書房, 1988)
Weiske, Brigitte, Gesta Romanorum, 2 vols (Tübingen: M. Niemeyer, 1992)

(KT)

詳細情報

Place of Publication
[Strassburg]
Printer
[Printer of the 1483 Jordanus de Quedlinburg (Georg Husner)]
Format

fº

Date of Publication
1499/01/13
Binding

Modern morocco in antique style.

Bibliographical Notes

π8 a8 b-o6 p8; 101 leaves (of 102); wanting p8; some contemporary(?) annotations; spaces for initial capitals, unrubricated throughout.

ISTC
ig00296000
Reference: 
Goff G296, HC 7751*, GW 10902, BMC, I 146, IJL 151, IJL2 185, PP 71
Shelfmark
120X@508@1
Acquisition Year
1979
Provenance: 

Ad R. R. Franciscanos Bibliot: (signature; π2r).