荒俣宏旧蔵 博物誌コレクション
巻号頁数:t. II, Pl. V 版画技法:エッチング(手彩色) 刊行年:1773
蝶は美しく、蛾は不気味というわれわれ日本人の感覚は、それほど普遍化できない。というのも、たんに言葉だけを調べてみても、両者を「butterfly」と「moth」として区別している英語を別にすれば、ドイツ語では両方を併せて Falter といい、フランス語でも papillon という。学問的にはあまり意味がないらしいが、蝶は昼、蛾は夜行性と相場が決まっていて、フランス語でも「papillon de nuit」 とすれば, 蝶ではない、蛾の意味になる。
(鷲見洋一編集・執筆『繁殖する自然―博物図鑑の世界』慶應義塾図書館、2003年 より)