福澤遺墨コレクション

「慶應義塾之目的」

(福澤関係文書 74)

原文(白文)

慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んするを得す其目的は我日本国中に於ける気品の泉源智徳の模範たらんことを期し之を実際にしては居家処世立国の本旨を明にして之を口に言ふのみにあらす躬行実践以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり  以上は曾て人に語りし所の一節なり 福澤諭吉書

釈文(書き下し文)

慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其目的は我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家、処世、立国の本旨を明にして、之を口に言うのみにあらず、躬行(きゅうこう)実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり。  以上は曾て人に語りし所の一節なり 福沢諭吉書 ※明治29年11月1日開催の慶應義塾旧友会における演説の一節。その演説は同年11月3日の時事新報紙上に社説として掲載された。慶應義塾では、この文章を「慶應義塾之目的」と称している。

解説
明治29年(1896)11月1日、芝紅葉館で行われた慶應義塾旧友会(三田に移転する前に義塾に学んだ者の同窓会)席上で、福澤が行った演説の一節。この演説で福澤は、義塾が培ってきた一種特別な気風・気品を維持継承して世の先導者となっていくべきことを訴えた。そして、末尾において「慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其の目的は我日本国中に於ける気品の泉源智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家処世立国の本旨を明にして之を口に言ふのみにあらず、躬行実践以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり」と述べ、その部分を改めて書き残したのがこの書である。 福澤はこの演説を「恰も遺言の如くにして之を諸君に嘱託するものなり」と結んでおり、義塾出身者のあるべき姿を示した「気品の泉源、智徳の模範」の語は、今なお慶應義塾のモットーのひとつとして尊重されている。

詳細情報

種別
演説の一節
署名
福沢諭吉書
関防印
なし
落款印
「福澤諭吉」(陽刻)
本紙サイズ 縦×横(cm)
80.2×59.5
装丁
軸装1幅
福澤関連文書no.
74