福澤遺墨コレクション

漢詩 「異客相逢君莫驚⋯」

(福澤関係文書 109)

原文(白文)

異客相逢君莫驚 今吾自笑故吾情 西遊記得廿年夢 帯剣横行竜動城 旧作明治十三年朝鮮使節渡来

釈文(書き下し文)

異客相逢う君驚く莫(なか)れ 今吾自(みずか)ら笑う故吾の情 西遊記し得たり廿年の夢 剣を帯びて横行す竜動(ロンドン)城 旧作明治十三年朝鮮使節渡来

解説
明治13年(1880)8月12日、民族衣装で隊列をなす朝鮮修信使一行の東京到着を目にして福澤が詠んだ漢詩。関防印「無我他彼此」、落款印「三十一谷人」「福澤諭吉」。異客相逢うも何ぞ驚くに足らん/今吾独り怪しむ故吾の情/西遊想い起こす廿年の夢/剣を帯びて横行す竜動(ロンドン)城――外国人がやってきても驚くには及ばない、私たちも20年前に西洋諸国を巡り、大小の刀を帯びてロンドンの町を歩き回ったではないか、と朝鮮使節と自らの人生を変えた欧州諸国訪問の記憶を重ね合わせている。その後の日本がたどったように、朝鮮が開国を進め、近代国家を築いていく道程の第一歩に立ったことを思い、この一行の中から近代化を主導する者が登場することへの期待が込められていたといえよう。

詳細情報

種別
漢詩
署名
なし
関防印
「無我他彼此」(陰刻)
落款印
「三十一谷人」(陰刻) 「福澤諭吉」(陽刻)
本紙サイズ 縦×横(cm)
147.1×39.3
装丁
軸装1幅
福澤関連文書no.
109